蒲江高校榎本校長先生よりのメッセージ

拝啓

 蒲江にも本格的な秋が訪れて来ました。佐伯市から蒲江町にかけての田圃の稲も、この4〜5日前にすべて刈り取られたようです。
 突然に、それも持て余す大封筒を差し上げ誠に申し訳ございません。
 本校職員で同窓生の田中千恵子さんより「東京で11月に同窓会を開くそうです」との連絡を受けました。 つきましては、本校野球部が、最後の活躍をマスコミが取り上げてくれましたので、出席された皆様にその様子を知っていただきたいと思い、新聞雑誌のコピーを用意させていただきました。
 廃校になる高校の野球部が、部員不足で出場できなくなるのを防ぐため、近在の高校より選手を借りて出場できるよう、今年から全国高野連の規定を改正しました。
 全国で対象になる高校は11校、うち4校は自校で部員を調達し出場しました。6校は出場をあきらめました。
従って、全国で本校のみがその規定を生かされ、TV、新聞、雑誌が取材に来ました。
 試合当日、全校生徒、同窓生、町関係の人、約350人が応援に駆けつけてくれました。 試合の始まる前までは本音のところ、私自身不安でなりませんでした。
 投手の出納君が故障続きで、本格的な練習が出来ていなかったまま、本番を迎えたこと、合同での練習が天候や学校行事で思うようにいかずチームワークに不安があったこと、相手チームはなかなかの好チームであること等、不安材料がいっぱいでした。
しかし、試合が始まり5回を終わって0:2「これで5回コールドはなくなった」7回は0:5「7回コールドもなし」8回終了時点でも0:5、「これでコールドゲームはなし」と不安も吹っ飛びました。
「コールドもなく9回まで出来る」と安堵していたところ、9回に3点を入れました。もう大変です。応援席は勝ったような騒ぎの大歓声。その後、二死、試合終了となりましたが、感動で涙、涙でした。 生徒、同窓生はもちろん、マスコミ関係の人の中には仕事を忘れ、試合にひき込まれ、涙を流している人もいました。 それだけに扱った記事も大きくなったようです。

 残念ながら、少子化と道路事情も良くなり、この10年間定員割れであったことと、将来も子供の数の増加も期待できず閉校ということになりました。 同窓生やその関係者の方にとっては母校が消えることの「言い難い寂しさ」 「やるせない気持ち」があると思います。 校舎、校地はそのまま残り、町内5中学校の統合校舎として利用されることになり、そのことが唯一の救いではないかと思っています。

 浜木綿活動が評価され、国土緑化推進機構より大分県で唯一表彰されることになりました。 この活動は30年間、卒業生が高校時代に受け継ぎ頑張って来たことが評価されたものです。
 生徒、職員にも寂しさはありますが、野球部の活躍、浜木綿活動の表彰は励みになるとともに、明るい話題となりました。
NHK−TVが8月4日19:35〜20:00の25分間、東京を除く全国ネットで ふるさと発ドキュメント『6人の野球部・最後の夏』を放映してくれました。 TV、新聞、雑誌等で蒲江町も宣伝されたとも思っています。

来年度、東京の同窓会の大型記念総会を開催されるとの事、今年は、その準備を兼ねた同窓会と推察されます。
一人でも多くの方が参加され、盛会になることを期待致しますと同時に、皆様のご健康を祈念申し上げます。
 学校の近況の一端をお伝えし、失礼致します。
敬具

平成12年10月20日
校長 榎本典昭

榎本校長先生から35枚に及ぶ新聞・雑誌の切り抜きコピーを送付していただきました。

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