人感センサー用LEDランプの自作
おことわり
本ページはLEDランプの自作を勧めるものではありません。
当記述を参考にして感電、火災などの被害を生じても一切の責任は負えません。
電球タイプの人感センサーに普通のLED電球が使えない理由。
電球タイプの多くは電球の突入電流を抑えて寿命を延ばすためにトライアックを使用してソフトスタートを行っています。
このため下記の問題を生じる可能性があります。
1.整流のみで平滑してないLEDランプの場合は点灯しないことがある。
2.整流平滑しているLEDランプの場合は激しくチラつく場合がある。
3.整流平滑しているLEDランプの場合は突入電流が過大になるかも知れない。
トライアックがトリガ後に導通を保つためには連続した保持電流が必要です。
平滑コンデンサが充電されて無い場合はトライアックが導通して平滑コンデンサを充電していきますが、
コンデンサが充電されていくと導通角が減少してトライアックが導通できなくなります。
平滑コンデンサが放電していくと導通角が広くなり再びトライアックが導通して平滑コンデンサを充電していきます。
この繰り返しでLEDは激しくチラついてしまいます。
対策
電源電圧の0V近辺から整流ダイオードが 導通するまでの期間にトライアックが導通を保持できるだけの電流を流す。
1.ACライン間にコンデンサを追加して無効電流を増やす(直列抵抗を経由して接続する)。
2.ACラインに直列抵抗を挿入して突入電流を低減するとともに整流ダイオードの導通角を広げる
(電源電圧のピークでコンデンサ電流がゼロになるため)。
回路図
TF1,TF2は温度ヒューズです、回路図には記述してませんが念のためポリスイッチも実装しています。
C1でトライアックの保持電流を確保します。
トライアックの保持電流は低温環境対策のために常温値の2倍程度の電流を確保する必要があります
(自宅人感センサーのトライアックの保持電流は約6.6mAでした)。
白色LEDのOSW443Z4E1Pは電流30mAで光束30lmなので20個で600lm、電圧は9.3Vなので10個直列で93V(Typ.)となります。
シミュレーションデータ
AC電流波形(AC100V 50Hz)
電流、電力値
R4,R5=560Ω
AC電圧(V) |
消費電力(W) |
LED電流(mA) |
保持電流(mA) |
R1,R2(W) |
R3(W) |
R4,R5(W) |
90 |
5.16 |
20.51 |
11.3 |
0.386 |
0.088 |
0.236 |
100 |
8.30 |
30.14 |
13.5 |
0.743 |
0.101 |
0.510 |
110 |
12.11 |
40.32 |
15.6 |
1.232 |
0.113 |
0.914 |
R4,R5=1kΩ
AC電圧(V) |
消費電力(W) |
LED電流(mA) |
保持電流(mA) |
R1,R2(W) |
R3(W) |
R4,R5(W) |
90 |
4.03 |
15.82 |
10.3 |
0.257 |
0.095 |
0.251 |
100 |
6.38 |
22.79 |
12.3 |
0.478 |
0.110 |
0.520 |
110 |
9.14 |
30.07 |
14.3 |
0.769 |
0.126 |
0.905 |
R4,R5=2.2kΩ
AC電圧(V) |
消費電力(W) |
LED電流(mA) |
保持電流(mA) |
R1,R2(W) |
R3(W) |
R4,R5(W) |
90 |
2.63 |
10.04 |
9.3 |
0.131 |
0.104 |
0.222 |
100 |
4.05 |
14.09 |
10.7 |
0.228 |
0.123 |
0.437 |
110 |
5.71 |
18.28 |
12.5 |
0.354 |
0.144 |
0.736 |
製作写真
ACプラグを分解流用してプリント基板に半田付けしています。
プラグ間のランドとスルーホールを除去して沿面距離を確保しています。
LEDの取り付け基板は60φのユニバーサル基板を秋葉原で購入しました。
注)C1は撮影後に変更したので回路図とは異なっています。
問題点
電源電圧の変動でLED電流が大きく変化する。
電力効率が良くない。
トラブルレポート
症状:
運用後しばらくしてLEDが点滅する様になった。
原因:
1個のLEDのボンディングがバイメタル状態になった模様。
約1.5mの高さからコンクリート上に2回ほど落下させたのが原因と思われる。
単体で試験すると約3mA以上で点滅を開始し、電流の増加と共に消灯時間が伸びる。
放熱対策:
自動点滅で短時間点灯のため軽く見ていたが、ユニバーサル基盤では放熱不足のようです。
近くのホームセンターで0.3mm厚の銅板を入手し、7.6mmX20mmの短冊に加工してV字型に
折り曲げ、各LED間の短絡線の代わりに半田付けしました。
電流制限:
LED電流は20~24mA程度に抑えたほうが良さそうです。
今後の改良予定(改定版)
定電流回路を用いてAC電圧が変動してもLED電流が変化しないようにする。
LEDを11個直列にして電力効率を上げる(高輝度のときの定電流領域はAC95Vまで)。
LED電流を可変にして明るさを調整できるようにする。
シミュレーションデータ
LED電流最大(VR1=0Ω)のとき
AC電圧(V) |
消費電力(W) |
LED電流(mA) |
保持電流(mA) |
R1,R2(W) |
R3(W) |
R4,R5(mW) |
R6,R7(mW) |
Q1,Q2(W) |
95 |
7.25 |
27.12 |
24.0 |
0.515 |
0.099 |
19.42 |
31.78 |
0.203 |
100 |
7.66 |
27.13 |
24.9 |
0.530 |
0.111 |
19.43 |
31.80 |
0.384 |
110 |
8.48 |
27.16 |
26.6 |
0.557 |
0.138 |
19.66 |
31.84 |
0.747 |
LED電流最小(VR1=500Ω)のとき
AC電圧(V) |
消費電力(W) |
LED電流(mA) |
保持電流(mA) |
R1,R2(W) |
R3(W) |
R4,R5(mW) |
R6,R7(mW) |
Q1,Q2(W) |
95 |
3.41 |
12.08 |
18.8 |
0.170 |
0.115 |
19.82 |
0.32 |
0.231 |
100 |
3.60 |
12.09 |
19.5 |
0.177 |
0.129 |
19.83 |
0.32 |
0.314 |
110 |
4.00 |
12.10 |
20.8 |
0.192 |
0.159 |
19.86 |
0.32 |
0.479 |
注)VR1の最大消費電力は約16mW(55Ωの時)、最大電流は約34mA(0Ωの時)です。
普通の市販LED電球を無改造でトライアック人感センサーに使えるか?
CR直列回路をLED電球と並列に接続してトライアックの保持電流を確保すればOKだと思われます。
電源位相0~90°(および180~270°)の区間で保持電流を維持するためには電流位相を45°進めます。
このためにはコンデンサのインピーダンスと抵抗値を一致させる必要があります
(コンデンサだけでは90°進相のため、AC電源電圧のピーク90°と270°で電流がゼロになってしまう)。
R = 1/(2*π*f*C) または C = 1/(2*π*f*R) とします。
問題点
1.抵抗で電力損失が発生する(保持電流10mAに対し約0.71W)。
2.LED電球の突入電流でトライアックがダメージを受ける恐れがある。
ソフトスタート機能である程度は緩和されるはずだが。
3.CRの実装が困難
二股ソケットなどを利用すると長さが増えるため多分カバーが付かない。
シミュレーションデータ
AC電流波形(AC100V 50Hz)
追記
メンテナンスが面倒なので、市販の調光器対応のLED電球を何種類か試して見ましたがNGでした。
このためE-17口金の一般的なLED電球にCR直列を並列に接続するアダプタを作成しました。
100円ショップで製品化してくれないかなあ。
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